中古で購入したRadeon RX7900XTXのメンテナンスをご依頼いただきました。
「汚れが目立つので清掃とグリス交換をしてほしい」というご要望で、実際に開封してみると錆・ほこりの付着が確認できたため、清掃・錆除去・グリス塗り替えを実施しました。
ご依頼の内容
- GPU: Radeon RX 7900 XTX(中古購入品)
- 依頼内容: 清掃・グリス交換
中古GPUは前の使用環境によってコンディションが大きく異なります。ほこりの堆積・グリスの劣化・サーマルパッドの硬化・ファン周辺の汚れなど、外から見えない部分で状態が悪くなっているケースは珍しくありません。
「購入直後に状態を整えておきたい」というご依頼で、今回はまず開封して内部状態を確認するところから始めました。
実施した作業
ほこりの除去
ヒートシンク・ファン・基板まわりに堆積したほこりをエアダスター・ブラシを使って除去しました。
錆の除去
一部箇所に錆の付着が確認されたため、丁寧に除去しました。
グリスの塗り替え
GPU本体のグリスを除去し、新しいグリスを塗り直しました。
サーマルパッドの確認
サーマルパッドの状態を確認したところ、十分に柔軟性が保たれており、交換の必要はないと判断しました。今回はサーマルパッドの交換は実施せず、グリスのみ塗り替えています。
温度計測の比較
作業前後に同条件でベンチマークを実施し、温度とスコアを計測しました。
| 計測項目 | グリス交換前 | グリス交換後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| コア最大温度 | 72.0℃ | 74.0℃ | +2.0℃ |
| コア平均温度 | 68.2℃ | 64.9℃ | −3.3℃ |
| HotSpot最大温度 | 99.0℃ | 93.0℃ | −6.0℃ |
| HotSpot平均温度 | 91.0℃ | 82.3℃ | −8.7℃ |
| メモリ最大温度 | 90.0℃ | 96.0℃ | +6.0℃ |
| メモリ平均温度 | 82.6℃ | 81.1℃ | −1.5℃ |
| ベンチスコア | 10,497 | 10,504 | +7 |
結果のポイント
HotSpot温度の改善が最も顕著でした。HotSpot平均が91.0℃→82.3℃と約9℃低下しており、グリスの劣化が局所的な熱集中に影響していたことが伺えます。コア平均も3.3℃改善しています。
コア最大温度は+2℃と微増していますが、ベンチマーク計測における誤差の範囲と考えられます。
メモリ最大温度は+6℃となっていますが、サーマルパッドは今回交換していないため、メモリ温度への介入はありません。計測条件のわずかな違いによる変動と判断しています。メモリ平均温度は−1.5℃で、概ね変わらない水準です。
ベンチスコアはほぼ横ばいで、グリス交換による性能への悪影響はありません。
作業を通じての所見
RX 7900 XTXはハイエンドGPUであり、発熱量そのものが多いクラスです。HotSpotが99℃(グリス交換前の最大値)に達している状態は、GPU自体の保護機能が働くレベルに近く、長時間の高負荷使用では不安定動作につながる可能性があります。
グリス交換によってHotSpotが93℃以下に収まり、平均温度は82℃台まで下がったことで、より安定した使用環境に近づいたと判断しています。
中古GPUの場合、使用年数や保管状況によってグリスが固化・劣化していることが多く、購入直後のメンテナンスは温度面での安定性向上に効果的です。
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