ドスパラで購入したBTOパソコンに搭載されたRTX 3090から、「HotSpotが105℃まで上がりファンがフル稼働、サーマルスロットリングが発生している」というご依頼をいただきました。
グリス塗り替えにより、HotSpot最大温度を 106.3℃→93.0℃(-13.3℃) に低下させ、ファン回転数も大幅に抑制。ベンチマークスコアも 6,650→7,858(+18%) に向上した実績です。
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ご依頼の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象GPU | NVIDIA GeForce RTX 3090 |
| PCの種類 | ドスパラ製 BTOパソコン |
| 依頼内容 | GPUグリス塗り替え |
| 症状 | HotSpot最大105℃超・ファンフル回転・サーマルスロットリング発生 |
| 発送 | 受領当日中に発送 |
作業前の状態
症状
高負荷時にHotSpot温度が105℃を超え、GPUファンがフル稼働。サーマルスロットリングが発生している状態でした。
サーマルスロットリングとは、GPUが過熱を検知して自動的にクロックを下げ、発熱を抑えようとする保護機能です。スロットリングが発生すると、GPU本来のパフォーマンスを発揮できず、ゲームや3D処理のフレームレート低下・処理落ちにつながります。
グリスの状態
分解後にグリスの状態を確認したところ、経年劣化により熱伝導素材としての機能が低下した状態でした。グリスが乾燥・劣化すると、GPUダイからヒートシンクへの熱の移動効率が落ち、ダイ内部に熱が閉じ込められた状態になります。これがHotSpot過熱の主な原因と判断しました。
作業内容
グリスの除去・塗り直し
劣化したグリスをGPUダイおよびヒートシンク側の両面からアルコールで丁寧に除去しました。接触面をクリーンな状態に整えてから、新しいグリスを均一に塗布しました。
組み立て・動作確認
ヒートシンクを適切なトルクで均一に締め戻し、ベンチマーク実行中の温度・ファン回転数・スコアを計測して動作を確認しました。
計測結果
※ 当方検証機での測定値です。CPUや動作環境によって異なりますのでご注意ください。
温度・ファン回転数比較
| 計測項目 | 作業前 | 作業後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| コア温度(最大) | 86.9℃ | 79.7℃ | -7.2℃ |
| コア温度(平均) | 81.3℃ | 73.3℃ | -8.0℃ |
| HotSpot温度(最大) | 106.3℃ | 93.0℃ | -13.3℃ |
| HotSpot温度(平均) | 100.0℃ | 86.2℃ | -13.8℃ |
| メモリ温度(最大) | 78.0℃ | 98.0℃ | +20.0℃ |
| メモリ温度(平均) | 71.8℃ | 86.3℃ | +14.5℃ |
| ファン回転数(最大) | 100% | 61% | -39pt |
| ファン回転数(平均) | 90% | 51% | -39pt |
ベンチマークスコア
| タイミング | スコア |
|---|---|
| 作業前 | 6,650 |
| 作業後 | 7,858 |
| 差分 | +1,208(+18.2%) |
結果の考察
HotSpotが13℃以上低下した理由
HotSpot温度(GPUダイ内の局所的な最高温度)が106.3℃→93.0℃へ、13.3℃の大幅低下を実現しました。
グリスの劣化によってGPUダイとヒートシンクの間の熱伝導が妨げられ、ダイ内部に熱が閉じ込められていた状態でした。グリスを新品に塗り替えることで熱の逃げが回復し、HotSpotが大きく改善しました。
ファン回転数が大幅に低下した理由
GPUのファンは温度センサーの値をもとに回転数を制御しています。作業前はHotSpotが100℃超えを続けていたため、GPUがファンをフル稼働させ続けていました。
グリス交換によってHotSpotが下がったことで、GPUのファン制御が正常に戻り、最大100%→61%・平均90%→51%という大幅な低減につながっています。ファン音の改善としても体感しやすい変化です。
ベンチマークスコアが18%向上した理由
作業前はサーマルスロットリングにより、GPUが過熱を検知するたびにクロックを下げていたため、本来の性能を発揮できていませんでした。
グリス交換によってHotSpotが下がりスロットリングが解消されたことで、GPUが安定したクロックを維持できるようになりました。その結果、スコアが6,650→7,858へ向上しています。
メモリ温度が上昇した理由
グリス交換後にメモリ温度が上昇していますが、これはサーマルスロットリングが解消されたことでVRAMへの処理負荷が増加したためと考えられます。
作業前は激しいスロットリングによりGPU全体が低クロックで動作していたため、VRAMへの負荷も抑えられた状態でした。作業後はGPUが本来のクロックで動作するようになり、VRAMが実際の高負荷を処理するようになった結果、発熱が増加しています。
まとめ
| 計測項目 | 変化 |
|---|---|
| HotSpot温度(最大) | 106.3℃ → 93.0℃(-13.3℃) |
| コア温度(平均) | 81.3℃ → 73.3℃(-8.0℃) |
| ファン回転数(最大) | 100% → 61%(-39pt) |
| ベンチマークスコア | 6,650 → 7,858(+18.2%) |
HotSpot過熱・ファンフル回転・サーマルスロットリングという3つの問題を、グリス塗り替えによって解消できた事例です。
「ファンがうるさい」「ゲーム中にパフォーマンスが落ちる」「HotSpotが高い」という症状がある場合、グリスの劣化が原因のひとつとして考えられます。
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