「中古RTX 3090を購入したが、冷えない。分解歴がありそう」
そんなご依頼をいただきました。
作業前にベンチマークを計測すると、サーマルスロットリングが激しく発生しており、スコアは2,325と、RTX 3090の正常値を大幅に下回る状態でした。
グリス塗り替えとサーマルパッド交換を実施した結果、スロットリングが解消。スコアは7,937へ+241%向上し、HotSpot平均は14℃低下、ファン平均回転数も95%から71%へ大幅に下がりました。
ご依頼いただいたサービスはこちら
GPUグリス塗り替え・サーマルパッド交換代行。分解・作業・動作確認まで一貫対応
ご依頼の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | ZOTAC GAMING GeForce RTX 3090 TRINITY |
| 依頼内容 | グリス塗り替え・サーマルパッド状態確認・交換 |
| 実施した作業 | グリス塗り替え・サーマルパッド全数交換 |
| 対応形態 | 郵送(GPU単体送付→返送) |
ご依頼の背景
中古RTX 3090を購入したところ、ファンが高回転のまま冷えない状態だったというご連絡でした。
RTX 3090は中古市場に一定数流通していますが、分解歴がある個体では、過去の作業でグリスや サーマルパッドが適切に処理されていないまま出品されているケースがあります。ファン全開・高温が続く場合は、熱伝導が正常に機能していない可能性が高いため、まずはグリスとサーマルパッドの状態を確認することにしました。
作業前のベンチマーク計測
状態を定量的に把握するため、作業前にベンチマークを実施しました。
計測中にGPUクロックと温度をモニタリングしたところ、高温によるサーマルスロットリングが明確に発生しており、GPUクロックが大幅に低下した状態での計測となりました。その結果、スコアは2,325と、RTX 3090の正常値を大きく下回る数値になりました。
分解・状態確認
ヒートシンクを外すと、グリスは劣化・固化が進んだ状態でした。過去の分解時に塗り直されていた可能性がありますが、適切に機能する状態ではありませんでした。グリスが固化・乾燥すると熱伝導効率が大きく低下し、今回のような過熱・スロットリングの一因になります。
実施した作業
グリスの除去・塗り直し
GPUダイおよびヒートシンク側の両面から固化したグリスをアルコールで丁寧に除去し、新しいグリスを均一に塗布しました。
サーマルパッドの交換
各部位のパッドの厚みを実測し、適正な厚みのサーマルパッドに全数交換しました。
組み立て・動作確認
ヒートシンクを均一なトルクで組み戻し、ベンチマークで温度・スコア・動作を確認して納品しました。
計測結果
※ 温度・スコアはお客様のGPUを当方の検証機に組み込んで計測した値です。PCの環境・ケースエアフローによって異なりますのでご注意ください。
温度比較
| 計測項目 | 作業前 | 作業後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| GPUコア温度(最大) | 93.0℃ | 84.0℃ | -9.0℃ |
| GPUコア温度(平均) | 87.1℃ | 77.8℃ | -9.3℃ |
| HotSpot温度(最大) | 106.1℃ | 94.2℃ | -11.9℃ |
| HotSpot温度(平均) | 102.2℃ | 88.0℃ | -14.2℃ |
| メモリ温度(最大) | 74.0℃ | 88.3℃ | +14.3℃ |
| メモリ温度(平均) | 71.2℃ | 71.0℃ | -0.2℃ |
| ファン回転数(最大) | 100% | 84% | -16% |
| ファン回転数(平均) | 95% | 71% | -24% |
ベンチマークスコア
| タイミング | スコア |
|---|---|
| 作業前 | 2,325(スロットリング発生) |
| 作業後 | 7,937(+241%) |
結果の考察
スコアが3倍以上になった理由
作業前の2,325というスコアは、RTX 3090の性能をほとんど引き出せていない状態での数値です。サーマルスロットリングによりGPUクロックが大幅に低下し続けていたため、本来の処理能力が全く発揮されていませんでした。
グリスとサーマルパッドの両方を改善したことでスロットリングが解消し、GPUが定格クロックで安定して動作するようになりました。スコア7,937はRTX 3090として正常な範囲の数値であり、購入時から本来の性能が出ていなかったことになります。
HotSpot温度が14℃低下した理由
HotSpot平均が102.2℃から88.0℃へ14.2℃低下しました。グリスの固化と サーマルパッドの不均一な密着という2つの問題を同時に解消したことで、GPUダイからヒートシンクへの熱の流れが正常化されました。
ファン回転数が大幅に低下した理由
ファン平均が95%から71%へ24%低下しました。高温状態の解消に伴い、GPUがファンの回転数を落とせるようになったためです。購入後ずっと高回転だったファン音も、作業後は静かになっています。
メモリ最大温度が上昇した理由
サーマルパッドを交換したにもかかわらず、メモリ最大温度は74.0℃から88.3℃へ上昇しています。これは作業前のスロットリングによってGPU全体が低クロックで動作していたため、VRAMへの処理負荷も抑えられていたためです。作業後はGPUが本来のクロックで動作し、VRAMが実際の負荷を処理するようになった結果、発熱が増加しています。メモリ平均温度がほぼ変わらない(71.2℃→71.0℃)ことからも、異常な発熱ではなく正常な動作範囲での数値です。
まとめ
| 計測項目 | 変化 |
|---|---|
| ベンチマークスコア | 2,325 → 7,937(+241%) |
| HotSpot温度(平均) | 102.2℃ → 88.0℃(-14.2℃) |
| GPUコア温度(平均) | 87.1℃ → 77.8℃(-9.3℃) |
| ファン回転数(平均) | 95% → 71%(-24%) |
分解歴のある中古GPUは、グリスやサーマルパッドが適切な状態でないまま流通していることがあります。「中古で買ったGPUがファン全開で冷えない」「スコアが出なくてスロットリングが疑われる」という場合は、グリス・サーマルパッド交換が有効な対処になります。
GPUグリス塗り替え・サーマルパッド交換代行を承ります。RTX・RX各世代対応
GPUグリス交換・GPU清掃の詳細・ご依頼はこちら →関連実績
処理落ちが発生していたRTX 3080Tiのグリス・サーマルパッド交換実績。
サーマルパッドが不適切な取り付け状態だったRTX 3080Tiのグリス・サーマルパッド交換実績
内部清掃・CPUグリス塗り替えを3,000円〜で。郵送全国対応。
構成の最終確認・予算内でのベース案提案など、10万円以上の買い物で失敗したくない方に。組立代行時は実質無料!
ワンコイン構成診断(500円) →