RTX 3080のGPUグリス塗り替えを代行した実績をご紹介します。
お客様からは「最近ゲーム中のファン音がうるさくて気になっている」というご不満をいただいており、グリス交換による改善を期待してのご依頼でした。グリスがほぼ乾燥した状態からの作業で、HotSpot温度が12℃以上低下し、ベンチマーク中のファン速度が100%→75%に改善されました。スコアも10.5%向上しています。
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GPUグリス塗り替え・サーマルパッド交換代行。分解・作業・動作確認まで一貫対応
ご依頼の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象GPU | NVIDIA GeForce RTX 3080 |
| 作業内容 | GPU清掃・GPUグリス塗り替え |
| グリス | 当方通常グリスを使用 |
| 対応形態 | 郵送(GPU単体送付→返送) |
作業前の状態
分解後にGPUダイ上のグリスを確認すると、ほぼ乾き切った状態でした。本来は均一に広がっているはずのグリスが粉状・固形化しており、熱伝導素材としての機能をほとんど失った状態です。
メモリ・VRM周辺のサーマルパッドは比較的きれいな状態が保たれており、かつ作業前のメモリ温度が正常範囲内であったため、今回はサーマルパッドの交換は不要と判断し、グリス交換のみ実施しました。
作業内容
1. 分解・清掃
ヒートシンク・ファンユニットを取り外し、GPU内部の清掃を行いました。グリスが乾燥した状態だと、除去の際にダイ面や接触面に残滓が残りやすいため、アルコールで丁寧に拭い取り、クリーンな状態を作ってからグリスの塗布に入ります。
2. グリスの塗り替え
GPUダイに新しいグリスを適量・均一に塗布しました。乾燥・固形化したグリスからの交換なので、この時点での熱伝導効率の改善は大きく見込めます。
3. 組み立て・動作確認
ヒートシンクを均一なトルクで締め戻し、ベンチマークで温度・スコア・ファン挙動を確認して納品しました。
計測結果
※ 温度・スコアは当方の検証環境で計測した値です。CPUや動作環境によって異なりますのでご注意ください。特にスコアは一般的な測定値より低く出る傾向があります(搭載CPUとの兼ね合い)。
温度比較
| 計測項目 | 作業前 | 作業後 | 差分 |
|---|---|---|---|
| GPUコア温度(最大) | 68.3℃ | 81.0℃ | +12.7℃ |
| GPUコア温度(平均) | 64.5℃ | 75.9℃ | +11.4℃ |
| HotSpot温度(最大) | 107.8℃ | 95.6℃ | -12.2℃ |
| HotSpot温度(平均) | 102.6℃ | 90.0℃ | -12.6℃ |
| メモリ温度(最大) | 76.0℃ | 92.0℃ | +16.0℃ |
| メモリ温度(平均) | 74.0℃ | 85.7℃ | +11.7℃ |
ベンチマークスコア比較
| タイミング | スコア |
|---|---|
| 作業前 | 6,392 |
| 作業後 | 7,062 |
| 差分 | +670(+10.5%) |
ファン速度
| タイミング | ベンチマーク中のファン速度 |
|---|---|
| 作業前 | 100%(常時) |
| 作業後 | 75% |
結果の考察
コア温度が上昇した理由
コア温度が+11〜12℃上昇していますが、これは「グリス交換で状態が悪化した」ではなく、GPUが本来の動作状態に戻ったことを示しています。
グリスが乾燥・固形化した状態では、局所的な高温(HotSpot 107.8℃)をGPUが検知し、自動的にクロックを抑えるサーマルスロットリングが頻繁に発生します。スロットリングによって動作クロックが下がった状態では、GPUの発熱量自体が減少するため、コア温度は低く見えます。
グリスを交換して熱伝導が改善されると、スロットリングが解消されます。GPUが本来のクロックを維持して動作するようになった結果、全体的な発熱量が増加し、コア温度が上昇しました。コア温度の上昇は、GPUが「本来の性能を発揮できるようになった」結果です。
HotSpot温度の大幅低下が示すもの
より重要な変化はHotSpot温度の改善です。
HotSpot(ホットスポット)は、GPUダイ内で最も温度が高い局所的な点を示します。グリスが劣化・乾燥すると、熱がダイ全面から均一にヒートシンクへ逃げず、一部に熱が集中する「熱の偏り」が生じます。この偏りがHotSpot温度を押し上げます。
作業前のHotSpot最大107.8℃は、GPUが常にスロットリング寸前・または作動中の状態だったことを示しています。グリス交換後の95.6℃(-12.2℃)は、熱がダイ全面から均一に逃げるようになった状態です。
ファン音が大幅に改善した理由
作業前はHotSpot107.8℃という高温を抑えるため、GPUがベンチマーク中ずっとファンを100%で回し続けていました。グリス交換によってHotSpotが95.6℃に低下し、GPUファン制御が正常に機能するようになった結果、75%で安定動作できるようになりました。
ファン速度が100%から75%への低下は、数値以上に体感的な差があります。高回転ファンの騒音は回転数の増加に対して急激に大きくなるためです。
メモリ温度の変化について
メモリ温度は+11〜16℃の上昇が見られます。サーマルパッドは今回交換していないため、パッドの状態は変わっていません。
この変化はGPUクロックの向上(スロットリング解消)によりVRAMへの処理負荷が増加したことで、メモリ自身の発熱量が増えた結果と考えられます。RTX 3080に搭載されているGDDR6Xはもともと発熱が多いことで知られており、作業後の値は高負荷時の実際の動作状態を反映しています。
まとめ
| 計測項目 | 変化 |
|---|---|
| GPUコア温度(最大) | 68.3℃ → 81.0℃(+12.7℃) |
| HotSpot温度(最大) | 107.8℃ → 95.6℃(-12.2℃) |
| ベンチマークスコア | 6,392 → 7,062(+670 / +10.5%) |
| ファン速度(ベンチ中) | 100% → 75% |
| サーマルパッド | 比較的きれいな状態のため交換不要 |
グリスがほぼ乾燥した状態からの作業で、HotSpot温度の大幅低下・ファン音の大幅改善・スコア10.5%向上という結果が得られました。
「コア温度の低下」だけがグリス交換の成果ではありません。HotSpot温度・ファン挙動・パフォーマンスの改善が揃ってこそ、グリス交換が正しく機能した状態です。今回はそのすべてで改善が確認できた事例です。
GPUグリス塗り替え代行を承ります。RTX・RX各世代対応。郵送全国対応・GPU単体での受付も可能です。
GPUグリス交換・GPU清掃の詳細・ご依頼はこちら →関連実績|グリス+サーマルパッド交換でより大きな改善が見られた事例
グリスに加えてサーマルパッドも交換した場合の改善幅については、以下の実績記事で紹介しています。
RTX 3090のGPUグリス塗り替えとサーマルパッド交換を代行した実績
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